深夜の突然のライン停止、澱粉の固着によるモーター異常、色替え時の負担の大きいバルブ清掃……。 24時間連続稼働が前提の製紙・パルププラントにおいて、粉体供給を担うロータリーバルブのトラブルは、現場のエンジニアを悩ませるだけでなく、ダウンタイムによる生産ロスに直結します。
本記事では、製紙業界特有の「高摩耗・高湿度・化学的腐食」といった過酷な環境に対応し、安定したライン稼働を支えるロータリーバルブ選定のポイントを解説します。頻発するチョコ停や日々のメンテナンス負荷を軽減するための、設備選びのヒントとしてお役立てください。
製紙業界では、原料となる木材チップやパルプ、薬品、燃料などを搬送するため、高い気密性、耐摩耗性、耐食性、耐薬品性などのタフネス仕様が不可欠です。粉体ハンドリングの精度が紙の品質を直接左右するため、設備選びには高水準のスペックが要求されます。
紙の表面を美しく仕上げるためには、様々な薬品や鉱物を混ぜ合わせる工程が必要です。ロータリーバルブへの粉体付着を防止したり滑りを良くしたりするための表面処理をはじめ、バルブ内部の摩耗を防ぐ耐摩耗性や耐久性も欠かせない要素です。
薬品の回収や漂白工程で用いることから、酸やアルカリに耐えうる材質であることは必須条件です。また、製紙工場では水を大量に使用するため工場内の湿度が高く、湿気を含んだ粉体がバルブ内で固まったり、ローターに固着したりといったトラブルを引き起こす原因に。外気を遮断するための高気密設計や発生する紙粉・木粉による粉塵爆発を防ぐ防爆仕様も重要なポイントです。
紙の表面を白く滑らかに仕上げるために用いられるカオリンやオキサイドは、鉱物特有の硬さがあり研磨性が高いのが特徴です。これらがロータリーバルブを通過する際、ローターやケーシングを削るように摩耗させてしまい、安定供給の阻害や粉体漏れの原因となります。削られた金属粉が紙の表面の汚れとして現れれば、製品品質の低下を招きます。
対策としては、耐摩耗性を高める表面処理やコーティングを行うほか、摩耗しやすい接粉部にハードクロムメッキやステライト肉盛溶接を施し、物理的に削られにくくするアプローチが有効です。
紙の強度を高める澱粉やコーティングの接着剤として使われるポリビニルアルコール(PVA)は吸湿性が高く、水分を含むことで粘度を増し、ローターの隙間に固着して供給量の低下を招きます。また、固着した原料が羽根と本体の隙間に挟まれば、モーターの過負荷による熱損を引き起こし、生産ラインの停止に直結する事態に。
バルブ内部やローター表面にフッ素樹脂加工を施すことで、付着や堆積の防止が期待できます。さらに、原料の特性に合わせて粉だまりができにくい設計のモデルを選ぶことも効果的な対策となります。
パルプの漂白剤として使用されるハイドロサルファイトや薬品調製に用いられる亜硫酸ソーダ、硫酸マグネシウムなどは、水や熱に弱く、自然発火や分解によるガス発生のリスクを持ち合わせています。粉体がローターの隙間に挟まり込んで発火する危険や、湿気の逆流による薬品の固着、さらにはバルブ本体の腐食・破損に伴う薬品飛散の危険性も潜んでいます。
標準的なステンレスでは耐えられない環境のため、耐食性に優れた特殊素材を採用するほか、薬剤が空気や湿気に触れないよう不活性ガスを封入する、防爆仕様のモーターを選ぶといった厳重な対策が求められます。
生産する紙に応じて使用する薬品やコーティング剤を変更する必要があるため、バルブ内部に前工程の薬品が残っていると、紙の色ムラや品質低下を起こす要因に。
色替えや銘柄変更のたびに分解・清掃を行うのは大きな負担となります。コンタミを防ぐためには、工具無しでローターをレールに乗せて引き出せるスライドレール設計を採用し、バルブの奥まで目視確認しながら残留原料の除去と清掃をスムーズに行える構造を選ぶことが大切です。
製紙ラインでは大量生産・高速搬送が行われるため、バルブの故障による工程停止は大きな損失をもたらします。澱粉やカオリンの固着・詰まりを放置すると深刻な動作不良に繋がるため、モーターの負荷電流をIoTシステム等でリアルタイム監視することが重要です。固着によって駆動部への負荷が上昇したタイミングでアラートを出し、安全停止させることで大規模な故障リスクを抑えることができます。モーターの回転数検知や圧力センサーの活用も有効な対策の一つです。
製紙・パルプ業界のロータリーバルブには、粉体の固着や摩耗、粉塵爆発、発火リスクを防ぐための高い気密性、耐食性、耐摩耗性が求められます。防爆仕様や不活性ガスの封入、表面処理・耐摩耗処理による適切な対策を行うことが、安定供給と製品品質の維持に繋がります。
ロータリーバルブで安定した運転を続けるためには、日々のメンテナンスが欠かせません。本サイトではメンテナンス方法やトラブルの原因についても詳しく紹介していますので、あわせて参考にご覧ください。
豊富な選択肢から
適切な機種を
提案してほしい

フルード工業は、今回調査したメーカーのなかでも最も多い26モデルのロータリーバルブを展開(※2)。これまでの経験を活かし、豊富なラインナップから粉体に応じて適切に機種選定することを得意としています。
※参照元2:フルード工業公式HP (https://www.fluideng.co.jp/products/feeder/rotary_valve.html)
製造ラインも含めて
総合的に
提案してほしい

ツカサ工業は、製造ラインも含めた総合的な提案にも強みのあるロータリーバルブメーカーです。顧客へのヒアリングを通して、粉体の総合エンジニアリング企業ならではの視点で問題点を分析し、課題解決につながる1台を設計・製造しています。
海外拠点にも
国内と同様に
提案してほしい

アイシン産業は、日本だけでなく中国やタイ、インドといった海外に拠点を持ち、世界中に顧客を抱える粉体用マシンの専業メーカーです。現地に日本の技術員を派遣し、日本の技術と品質を海外でも展開。顧客の依頼に対し、スピーディーな製造、サポートを行っています。